黒田早織、森直由
集団生活を送る男女が不審な死を遂げた「尼崎連続変死事件」が表面化して10年が過ぎた。死者が8人に上る異様さに加えて当時クローズアップされたのが、警察の相談対応の不備だった。虐待やSNSでの脅迫など犯罪の態様が変わりゆく中で、警察はあの教訓をどういかしてきたか。
「事件はもう風化した」
尼崎市南東部の住宅街。現場となったマンションは今も変わらず残り、周辺の景色も当時のままだ。
「10年前は事件の話で持ちきりだったけど、近所で話題にのぼることはなくなった。すでに風化している」。近くで事業所を営む男性(56)は言う。
男性は、のちに留置場で自殺した角田美代子元被告(当時64)や関係者の顔を事件前から覚えていた。車から多くの人が降りて、様々な人がマンションに出入りする様子を不審に思っていたという。
12月12日、元被告の死亡から丸10年
2011年11月、尼崎市の貸倉庫でドラム缶詰めの女性の遺体が見つかった。翌12年以降、民家の床下や海中などでも男女の遺体が次々と発見。死体遺棄などの罪に問われた角田美代子元被告(当時64)の周辺で、計8人の死亡が確認された。元被告は25年以上にわたり、血縁関係のない男女を多数集めて疑似家族のように共同生活し、暴力や脅しで財産を奪うなどしたとされる。
事件の兆候は見えていた。県警は、元被告に巻き込まれた人の家族や知人から何度も相談・通報を受けていた。
不手際認めた県警
たとえば1999年に死亡し…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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