新型コロナウイルスの変異ウイルスによる感染が全国に広がってきた。コロナ対策を厚生労働省に助言する専門家組織は14日、大阪府や兵庫県に続いて、東京都や愛知県などでも変異株が増えてきたと指摘。対策分科会の尾身茂会長は衆院厚生労働委員会で「第4波に入っているのは間違いない」と述べた。
コロナの感染状況について「第4波」と指摘した尾身氏は、感染が拡大する大阪府について「緊急事態宣言を出す可能性は十分検討する必要がある」とも語った。
日本医師会の中川俊男会長も定例会見で「第4波だと思う。だんだん高い波になってきている」と述べた。「先手を打つ意味では、状況によっては早期の緊急事態宣言発令も必要だ。結局発令するなら、できるだけ早く発令するほうが効力を発揮する」とも語った。
一方、菅義偉首相は参院本会議で「全国的な大きなうねりとまではなっていない」との認識を示した。その上で「政府としては強い警戒感をもって対応すべき状況にある」と強調。15日にも関係閣僚会議を開き、新たにまん延防止等重点措置を適用する自治体について協議する予定だ。
厚労省によると、変異株による全国の感染者数は、3月31日~4月6日の1週間で839人増えたが、7~13日の1週間では1525人と、前週の2倍近く増えた。2月から4月13日までの累計では3564人になった。
都道府県別にみると、大阪府は7~13日に273人増えて計770人、京都府は76人増えて計146人。東京都は増え方が最も多く319人増の計418人になった。愛知県は67人増で144人。厚労省が都道府県ごとの変異株のスクリーニング結果を集計した。
全国の新規感染者数も増え続けている。10万人あたりの新規感染者数は、4月13日までの1週間は大阪府71・32人、沖縄県56・92人、奈良県39・02人、兵庫県38・11人、宮城県26・58人、東京都24・74人だった。田村憲久厚生労働相は専門家組織の会合で「予断を許さない状況だ」と話した。
また、急増する大阪府の重症者数について専門家による今後の予測も示された。1人が何人に感染させるかを表す実効再生産数がいまより3割下がるという最も楽観的なシナリオでも、4月26日ごろには大阪府が確保している232床を大きく超える400人以上になるという。出席者の一人は「災害レベル」と危機感を示した。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル