「そろそろ運転をやめた方がいいと、毎日電話で話しました」
「(運転させないため)車の鍵を持って帰ってくればよかった。甘かったと反省しています」
97歳の男が福島市の歩道を車で暴走し、5人を死傷させた昨年11月の事故。自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた男の長女は、運転をやめるよう再三促していたことを公判で明かし、事故を防げなかったことを悔やんだ。
高齢ドライバーによる事故が、いまなおやまないのはなぜか。公判を通じて、やむにやまれぬ理由や背景が見えてきた。
2023年2月28日の福島地裁203号法廷。男は右手に杖を持ち、おぼつかない足取りで、一礼して法廷に入ってきた。証言台に座ると、背中を丸めながら、検察官の起訴状の読み上げを聞いた。
裁判長「起訴状に書いてあることで事実と間違っているところはありますか」
被告「ありません」
ハッキリとした口調で言った。
被告は昨年11月19日午後4時45分ごろ、福島市南矢野目の市道で車を運転中に歩道に乗り上げ、そのまま歩道上を進行。ブレーキと間違えてアクセルを踏んで少なくとも時速約60キロまで加速し、歩道にいた調理員の女性(当時42)をはねて死亡させ、続いて信号待ちで停車中の車に衝突し、乗車中の女性4人に軽傷を負わせたとして起訴された。
公判でのやりとりから、事故の経緯をたどる。
被告は53歳で免許を取得し…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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