改正健康増進法が今月1日から施行されたことを受け、従業員が2人以上いる店において原則として屋内禁煙となった。これにより東京都内にある飲食店の8割以上が規制の対象になる。しかし、そのような飲食店でのタバコは禁止となる一方、シガー・バーのように「喫煙目的施設」として認められた場合はタバコを吸うことができる。そのため、店先には「喫煙目的店(Smoking area)」と記されたステッカーを貼る店が増えている。
店先にステッカーを貼る新宿ゴールデン街にある飲食店の店主は「うちは4月から問題なく吸えます。タバコを販売している喫煙所として登録している。おそらくそういう形じゃないと(営業が)できないので、どこもやっていると思う」と実態を明かした。
飲食店にも言い分はある。同じく新宿ゴールデン街に店を構える女性は「こういうお店ってお酒があって+タバコがある。うちはお酒を出しているけど、料理は出していない。何か付加価値をつけるとしたら、タバコを吸える飲み屋ということになる。それこそ死活問題で、存続につながる」と主張した。
そんな中、千葉市では受動喫煙を防止するための取り組みを開始した。それが「受動喫煙SOSシステム」だ。喫煙が禁止されている場所での喫煙や煙漏れなどを発見した際にLINEで日時や場所を報告すると、市の対策室のパソコンに情報が転送される。これを受けた職員は通報内容を精査し、条例違反の疑いがあれば現地を調査。場合によっては罰則を科すこともあるという。一連の流れを受け、飲食店の組合では、加盟店に前述した出張販売所になる手続きを支援しており、加盟店2500店のうち、すでに500店以上が申請の準備中だという。
「ん~……」と声を絞り出すように電話取材に応じたのは、東京都社交飲食業 生活衛生同業組合の塚口智理事長だ。
塚口さんは「やらざるを得ないですから、生活のために。これが全面禁煙になるとバーやスナックにとって痛手になることは間違いない。しかし、申請が多く間に合っていない状況だ」と現状について説明する。
喫煙禁止に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり飲食店業界はいま大打撃を受けており、塚口さんによると売り上げは8割減。「このままの状態が続けば、6~7割の店は潰れてしまうだろう。それぐらい切迫している」と苦しい胸の内を明かした。
タバコ業界に詳しい産業医科大学の大和浩教授は、飲食店業界に広がる喫煙目的施設への衣替えについて「最終的には得策にならない。いまは国民の8割がタバコを吸わない人。大半の店が喫煙目的施設として鞍替えしたところで、禁煙の小さなお店が逆に流行ると思っている」と指摘した。(AbemaTV/『Abema的ニュースショー』)
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース