7月の記録的豪雨から間もなく半年。被災後に初めて迎える年の瀬を、仮住まいで過ごす人たちがいる。住宅約4600棟が全半壊した熊本県では、約4200人が仮設住宅などに身を寄せている。住み慣れた地を離れての暮らしに不安はつきまとう。見守りの取り組みも始まった。
豪雨で氾濫(はんらん)した球磨(くま)川が注ぐ八代海に面した芦北町女島(めしま)。海辺の仮設住宅に川口重子さん(85)は一人で暮らす。「今年は神棚と仏壇のお飾り(正月飾り)もできんでしょうね」。28日、玄関口でつぶやいた。
豪雨の時、20キロ近く離れた球磨川沿いの集落にあった自宅で、首まで水につかった。水に浮かんだ畳の端を必死につかみ、台所の物置の上に逃れ、暗闇の中で水が引くのを待った。「あと30分水が引かんかったら、死んどったです」。仏壇も何もかも流された。20代で嫁ぎ、60年以上暮らしてきたが、もう住めないと思うようになった。
被災後、熊本市内の長男宅に身を寄せた。だが、住み慣れた集落とは違い、野菜を育てる畑もない。家にこもりがちになり、いつしか口数も減った。「あげな都会には住めん」。9月に仮設住宅に入った。
60戸ある団地での新たな暮ら…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル