福岡市のベンチャー企業が生み出した安全技術が、全国に広がっている。遭難した登山者らの居場所を電波で知らせて捜索に役立てる「ココヘリ」。キーホルダー型の小さな発信器を身につけておき、もしもの時にはヘリコプターなどから高精度で位置を特定する。全国35都道府県の警察や消防が導入ずみ。スキー客や子どもなど、活用の対象も拡大中だ。
旧九州松下電器(現パナソニックシステムソリューションズジャパン)の元社員らで2011年に設立したオーセンティックジャパン(福岡市中央区、久我一総社長)が開発し、16年にサービスを始めた。登山時に衣服やリュックサックに装着する発信器は、4×6センチの薄型で20グラム。1度の充電で2カ月は動く。電源の入れ忘れを防ぐため、スイッチ類はない。
二つの電波が出ている。一つは長距離用で、16キロ離れた場所から手のひらサイズの専用受信機でキャッチする。捜索の要請があれば発信器のIDで位置を確認。方向も分かる。
もう一つは近距離用で、パソコンなどに使われるブルートゥースの電波を使う。見晴らしがよいと100メートル以上の距離でもスマホで受信できるので、街中で家族などが捜すこともできるという。「山岳遭難だけでなく、子どもや高齢者の道迷いにも備えられる」と、マーケティング担当の高柳晃さん。
どちらの電波も誤差は数メートル。利用者数は4万人を超え、全国各地の警察や消防も捜索に備え専用受信機を導入。実際に活用される事例も増えてきた。
鳥取県の大山(標高1729…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル