地方芸術祭にとって「地元」とは何だろう。そんなことを考えさせられる芸術祭だ。
10年目を迎えた「六甲ミーツ・アート 芸術散歩」。過去最多の参加作家42組ががっぷり四つ、それぞれのやり方で、地元の「六甲山」と向き合っている。
神戸市街の背後に連なる六甲山地の最高峰。平地とは異なる自然条件を生かした作品群のうち、大野公士(こうじ)が着目したのは、山岳で光の輪をまとった自分の巨大な影が霧に映る「ブロッケン現象」。クモの巣のように編んだ絹糸を木彫像の影に見立て、神仏の光背(後光)や来迎(らいごう)にも重ねられる気象現象を幻想的に表現した。
地面にガラス片を敷き詰めて枯山水を表した大東真也(だいとうまさや)や、風に吹かれた発電装置が夜に蛍の群れのように光る中森大樹(だいき)の作品は、人工物が自然環境に影響され変化する過程を取り込む。
地面に掘られた幾何学的な穴が「母なる大地」を象徴するYOSHIHIRO MIKAMI+HAJIME YOSHIDA「私が生まれました」は1960年代後半以降、米国で盛んになったランド・アートを思わせる。
作家の普段の制作手法が自然の…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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