群馬と新潟の県境にある谷川岳(標高1977メートル)の山小屋を、管理人として守ってきた2人の男性がいる。ひとりは元群馬県警の谷川岳警備隊長。もうひとりは元々は山の素人だった。「登山者が安心できる場所であり続けたい」という思いでつながっている。
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絶壁と深い谷。変幻自在の雲。ロープウェーの駅から天神尾根を2時間半ほど歩くと、頂の一つトマノ耳の直下の山小屋「肩ノ小屋」に着く。木造2階建てで、登山道が集まる要所に立つ。
2代目管理人の森下孝男さん(60)は毎朝、谷川岳の表情を撮影し、ツイッターで発信している。朝焼け、紅葉、吹雪……。これから登る人に最新の状況を伝え、登れない人にも四季や時間で移ろう姿を伝えたいと思う。「何度見ても同じ風景はないですね」
元は「山の素人」だった。地元の群馬県みなかみ町で生まれ育ったが、登ったのは数回ほどで周りの山の名も知らない。20代後半でガラス店に勤めていたころ、知人に誘われ、群馬県谷川岳登山指導センターの職員に転職したのが、山にかかわるきっかけだった。
軽い気持ちで引き受けたが…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル