世界最多、年間250万人超の登山者が訪れる高尾山(599メートル)。その登山エリア内にある小仏(こぼとけ)峠に、週末限定の露店がある。店主は、東京都武蔵野市に住む守屋二郎さん(56)。自ら山を歩いて得た情報を盛り込み作った「登山詳細図」シリーズ(吉備人(きびと)出版)を同所で販売して12年。書店ではベストセラーになったこともある。山中で売り続けるのはなぜだろう。店を訪ねた。
JR高尾駅からバスで約20分。終点の「小仏」バス停で降り、山道を2・4キロ、50分ほど歩いて登った先に小仏峠はある。露店を出すのはかつて茶屋があった場所だ。
「ここは東京都と神奈川県の境目で、こちら(茶屋側)が八王子市、相模湖が見える高台のある向こうが相模原市です」。出店前の掃除をしながら、守屋さんが教えてくれた。
清掃後、看板を立て、商品を並べていく。荒天の日などを除く土日祝日の午前9時から午後3時まで、こうして自ら設営した露店に立つ。
「ライバル」出現で危機も
守屋さんが、登山詳細図を作り始めたのは2010年。父親で登山家の益男さん(87)と共同で高尾山、奥多摩東部、東丹沢、西丹沢の4種類を作成し、14年発行の奥多摩西編からは自身が主体となって作り上げた。GPS(全地球測位システム)で実際に歩いた道の軌跡を記録し、コースの特徴や危険箇所、道標やトイレ、ベンチなどの情報を細かく盛り込んでいく。マラソンのコース計測などで使うロードカウンターも必需品だ。地道な作業を経て完成させた詳細図は全12種類。それぞれに改訂を重ね、今年1月発売の「新版・六甲山系東編」が最新刊にあたる。
小仏峠での販売は11年からで、出店回数は計1100回ほどになるという。
「危機的な状況だと感じた時…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment