日本郵便中国支社は20日、山口県防府市の奈美郵便局の40代の元局長が、約4年間、顧客の貯金や局の資金を横領し、計約1億1600万円を不正に出し入れしていたと発表した。発覚を免れるために横領した金で補塡(ほてん)を繰り返しており、実質的な被害額は約4700万円という。同支社は刑事告訴を検討している。
同支社によると、元局長は2018年1月~昨年11月、顧客5人から預かった通帳を使い、計約8800万円を無断で引き出した。使い込みを隠すため、5人の口座間で金の出し入れを繰り返したほか、架空の預け入れ処理で計約2500万円分の残高を水増ししていた。また、局内にあった運営資金300万円も横領したという。
昨年11月、通帳の返却を受けた顧客が「覚えのない払い戻しや預け入れがある」とゆうちょ銀行の電話窓口に指摘し、不正が発覚。元局長は今月11日付で解任された。社内調査に対し「借金の返済に充てた」と話しているという。
旧特定郵便局である奈美郵便局の職員は局長を含む3人。元局長は今回、不正が発覚するまで13年近く局長を務めた。顧客に資産運用を持ちかけて通帳を預かり、「手続きを代行する」と偽って暗証番号を聞き出していた。日本郵便は顧客から暗証番号を聞くことを禁じているという。
中国支社の茂木孝之支社長は「チェック機能が働かなかった。事態を真摯(しんし)に受け止め、指導を徹底していく」と謝罪した。(寺島笑花、武井宏之)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル