ファンが増えている山城などの登城記念として、「御城印(ごじょういん)」を2年前から毎月のように作りだしている、山城大好きな「山城ガール」がいる。デザインした千葉県内の御城印はもうすぐ100枚になる。やぶから城跡を掘り起こす「お城開き」やバスツアーを開催し、街おこしにも力を入れる。御城印をきっかけに県外からファンが足を運び、注目を集めている町もある。(伊藤繭莉)
御城印をデザインするのは、「山城ガールむつみ」こと宇野睦さん(43)=横浜市=。山城は、中世に山頂や山腹などの地形を利用して作られており、近年人気が高まっている。むつみさんは「天守閣よりも、土の痕跡や石垣だけが残っているところが好きなファンが増えている」と言う。
御城印のデザインには工夫が施されている。匝瑳市の飯高寺周辺を城域とされた「飯高城」と、城の周囲に設けられた「飯高砦(とりで)」「天神砦」の二つの砦。三つの御城印の絵柄を合わせると、当時の地図が浮かび上がる。
ポストカード大で、家紋や地図、イラストを描き、城にまつわる物語を表現。裏には城や砦の説明がある。これとは別に、A4紙に詳しい歴史的背景や裏話をまとめている。
きっかけは、中世の三浦半島地域を本拠とした三浦一族にまつわる、四つの御城印のデザインを手がけたこと。城好きの知人と、千葉でも御城印を作ろうという話になり、2020年に「千葉城郭保存活用会」を結成。以来、毎月御城印を発行する。
御城印にする場所は、荒れた城ではなく、ファンが城を訪れられるよう、整備された城を選び、自ら標柱を整備することもある。
山城を調べるには、時間がかかるという。文献が残っていないことが多く、何度も現地を訪れ、地主や学芸員から伝承や解説を聞き、土のでこぼこした痕跡や土塁跡などを探す。むつみさんは「誰も知らない場所でも歴史が詰まっている。愛着を持って歴史を知ってほしい」と話す。
目標は、100カ所の御城印…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル