山形県、社会人採用を60歳まで拡大 「地元に戻って貢献」に期待

 山形県が今年度から社会人採用を急加速させた。県外の企業で働く社会人らを対象にした職員選考試験の受験可能な年齢を上げたのだ。これまで「39歳以下」だったものを「60歳以下」に。約20歳も引き上げるという年齢の大幅緩和で、即戦力の人材確保をめざす。

 県の職員採用試験(大学卒業程度)の最終倍率を見ると、2018年度以降、「行政」が3・8倍~6・3倍で推移する一方で、技術職は低い傾向にある。特に「総合土木」という職種は19年度に3・5倍となった以外、1倍台が続く。22年度は29人が受験し、18人が合格。倍率は1・6倍だった。「建築」「農業」の2職種も21~22年度、1~2倍台となった。県人事課は「専門職という人材のパイの少ない中で民間の採用と競合しやすい」とみる。

 「総合土木」は採用後、主に県土整備部や農林水産部などに配属され、道路や河川などの整備や維持のほか、災害時には復旧に当たる。インフラを支えるうえでの欠かせない職種だ。

 約4千人の職員を抱える知事部局の中で、土木や農林水産部門に所属するのは約1800人。定年退職者の数に合わせて、毎年、補充が必要となる。今年度、総合土木は一般試験で約30人の採用を予定するが、見通しは楽観的ではない。

 自治体の技術職への応募の低迷は全国的な課題だからだ。このため、総務省は21年、中途採用の推進や試験の多様化に取り組むよう都道府県に通知している。

 県は即戦力の人材を確保するため、県外企業や自治体などで働く社会人向けの選考試験を19年度に始めた。「総合土木」も21年度に対象に加わり、同年度には5人、22年度は1人が受験、いずれも合格した。

 応募者の数をみても分かる通り、人事課の担当者は「技術職を中心に人材の確保が困難な事態は続いている」とみる。その打開策が受験年齢の大幅緩和だ。これを後押ししたのは原則60歳だった公務員の定年の引き上げにある。今年度は61歳で、段階的に拡大され、31年度には65歳となる。

 担当者は「年齢の緩和により、山形出身で他県で長年仕事に就いていたが、地元に戻って貢献したいといった方の応募が増えれば」と期待を膨らませる。

 経験者採用の職種は総合土木のほか、行政、ICT、国際・観光、林業、獣医師、薬剤師。受験案内は県のホームページ(https://www.pref.yamagata.jp/ou/930001/saiyosikentop.html)からも入手できる。(高橋昌宏)

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技術職(総合土木)の合格者と倍率

     合格者  倍率

2018年度  17人 1・5倍

 19年度  10人 3・5倍

 20年度  13人 1・9倍

 21年度  17人 1・7倍

 22年度  18人 1・6倍

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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