梅雨時の外出で突然の雨に見舞われ、あわててビニール傘を買ったことが誰しもあるはず。と思っていたら、実は山形県はビニール傘の所有数が全国で最も少ないという。なぜだろうか。
「ビニール傘を何本持っていますか?」。気象情報会社「ウェザーニューズ」(本社・千葉市)が5月、同社のスマホアプリの利用者を対象にアンケートを実施。全国の9858人から回答を得て、6月7日に「傘調査2022」の中で発表した。
その結果、回答者の平均本数が最多だったのは東京の2・0本で、全国平均は1・6本だった。一方、山形県は0・9本と都道府県ランキングで単独最少だった。
ビニール傘を1本以上持っている回答者の購入理由は、「急な雨で購入した」「いつの間にか増えた」などだった。
都道府県ごとにばらつきがでることについて、担当者は「車社会が影響しているのでは」とみる。通勤や買い物で車を使っていれば、雨にぬれる確率は低くなる。急な雨でも車内にいれば、コンビニなどに駆け込んでビニール傘を買わなくても済む。
とは言え、「車社会」は山形特有ではない。同社の過去のアンケート結果を見ると、こんな推測ができそうだ。
2014年の調査で「1日に天気予報を何回確認しますか?」との質問に、山形県の回答者の平均回数は3・62回で、都道府県ランキングで単独最多。同時に傘の年間購入本数のランキングも公表され、山形は0・72本で単独最少だった(最多は東京の1・17本)。
「天気予報をこまめに確認しているから、傘を買わずに済んでいる可能性がある」と担当者は言う。
では、山形県民が天気予報を確認する頻度が高いのはなぜなのか。
山形地方気象台によると、県内の気候特性は日本海に面する沿岸部と内陸部に大別される。沿岸の庄内地域は多雨多湿で冬季にふぶくこともある。
内陸部はさらに3地域に分かれる。最上は積雪が多くて夏季に大雨となることが多い。村山だと平野部は雨、雪ともに少ないものの、朝日山系の山間部は全国有数の多雨多雪地帯。置賜であれば吾妻山系が多雪地帯、といった具合だ。
気象庁は山形県の天気予報をこの4地域ごとに発表しており、2~3地域にとどまる東北地方の他の5県よりも多い。山形のこの複雑さが、天気予報を確認する頻度の高さにつながっているのかもしれない。(辻岡大助)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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