岐阜市で7月、中学3年の男子生徒(当時14)がマンションから転落死した問題で、市教育委員会が設置した第三者委員会は23日、男子生徒はいじめが主要因となって自殺したと認定し、再発防止策を盛り込んだ報告書を市教委に提出した。教員間の情報共有や連携ができておらず、保護者との連携も不十分だったと指摘。いじめに対応する方針が実態に即しているか、学校と市教委が点検するよう求めた。
第三者委の橋本治委員長は23日に会見し、亡くなった男子生徒が受けたいじめ行為や、学校側の対応の問題点を説明した。
男子生徒は中学1年のころからクラスや部活、クラブ活動の場でいじめを受けており、今年5月中旬から激しさを増したという。
男子生徒は亡くなる前日の7月2日、校内のトイレの和式便器の前で土下座でおじぎをさせられ、頭が便器に突っ込むような姿勢になった。その後に教室で「トイレに頭を突っ込んだ」と言いふらされ、「もう一回トイレに行く?」と脅されたりしたという。
報告書によると、担任教師は5~6月、男子生徒がいじめを受けていることを同級生2人から伝えられていたにもかかわらず、学年主任や管理職に明確な形で報告しなかった。第三者委は「教職員は他の業務に優先し、すぐに情報を学校のいじめ対策組織に報告し、学校の組織的な対応につなげなくてはならない」と指摘。さらに男子生徒の保護者と、いじめがあることを担任に伝えた同級生の保護者に連絡し、家庭と連携して生徒を見守るべきだったとした。
第三者委が認定したいじめ行為は「蹴る、殴る、首を絞める」「現金を要求する」「給食で好きな物を取り上げたり、嫌いな物を押しつけたりする」など34件にのぼるが、ほとんどが生徒が目撃した情報で、教員の目撃情報は皆無だったという。報告書は「中学生のいじめは大人には『見えにくいものである』ことを再認識し、対応にあたらなければならない」「見えにくい『いじめ』に対し、鋭敏な感性を養うためには、教員が『多忙』であっては実現しにくい」と指摘した。
この問題を巡っては、岐阜県警が男子生徒の同級生3人を強要などの疑いで、年明けにも書類送検する方針だ。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル