強盗殺人未遂事件の被害に遭った80代の男性が「暴行され、車を奪われた」と訴えたにもかかわらず、岩手県警の警察官が認知症と決めつけ、事件性はないと判断して捜査を怠っていたことが28日、分かった。男性は認知症ではなく、実際に被害に遭っていた。
県警は28日、面識がない80代の男性を襲って軽乗用車を奪ったとして、住所不定、無職佐藤広明容疑者(76)を強盗殺人未遂容疑で逮捕し、発表した。容疑を否認しているという。
捜査1課などによると、佐藤容疑者は15日午後5時半ごろ雫石町内の神社の敷地内で、男性の首を絞めて顔を殴り殺害しようとしたうえで、男性の軽乗用車を奪った疑いがある。男性は打撲のけがを負ったという。
事件をめぐっては、被害者の男性が盛岡西署員に被害を訴えたが、男性を認知症と決めつけ、捜査を怠っていたことが分かった。
捜査1課によると、事件から半日が経過した16日朝、雫石町内の道路を1人で歩いていた男性を一般の人が見かけ、不審に思い110番通報した。駆けつけた署員が男性に話を聞くと、男性は「暴行され、車を奪われた」と訴えた。
だが、署員は男性のけがの状態と話の内容が合致せず、襲われた場所を明確に答えられなかったことなどから認知症と考え、事件性はないと判断して家族に引き渡した。同課によると男性は認知症ではないという。
その後、青森県内で男性の軽自動車がナンバープレートが付け替えられた状態で見つかり、岩手県警が改めて男性から事情を聴くなどして事件と断定。事件から3日経った18日に男性からの被害届を受理し、19日に容疑者を強盗殺人未遂容疑で全国に指名手配した。
容疑者は21日夕、青森市内の県道で別の車を運転中に、検問のため駐車していたパトカーなどに衝突したとして、公務執行妨害の疑いで青森県警に現行犯逮捕されていた。
岩手県警は「誤った判断で被害者や家族に精神的苦痛を負わせたことは事実。重要凶悪事件の捜査の開始が遅れたことを真摯(しんし)に受け止め、二度とこのようなことがないように指導を徹底する」としている。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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