海中の乗用車内から父子5人の遺体が見つかった三重県南伊勢町周辺の海岸は、アジやタイなどを目当てに多くの人が訪れる釣りスポットだ。岸壁で夜釣りを楽しむ人も少なくない。海に転落しないためにはどんな注意が必要なのだろうか。もし車が水没したら脱出にはどうすれば良いのか。
愛知、三重の沿岸を管轄する第4管区海上保安本部(名古屋市)によると、2018年~22年、釣りで海中転落した人は全国で77人(死亡・行方不明は24人)で、うち岸壁からの転落は24人(同3人)。コロナ禍で「密」を避けるレジャーとして人気を集め始めた21年が最も多かった。
海保関係者は、岸壁から車の転落事故が絶えないのは、車止めが小さい場合が多く、簡単に乗り越えられ、すき間もあるためと話す。「(海に向かって)バックで車を止めない」「岸壁と水平方向に止める」といった注意が必要で、「そもそも危険なので海の近くに車を止めない方がいい」と指摘する。
JAF(日本自動車連盟)は、車が水没した際、何を使えば窓ガラスを割って脱出できるか、検証する動画をユーチューブで公開している。シートのヘッドレストやスマホといった車内にありそうなもの5点と脱出用ハンマー3点を使って実験したが、実際に割ることができたのはハンマーだけだった。
JAF愛知支部の担当者は「水没車内からの脱出にはハンマーが必須」と話す。自動車用品店ではキーホルダー程度の大きさのものも入手可能で、グローブボックスなど手が届く範囲に備え付けた方がいいという。(臼井昭仁、前川浩之)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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