自民党の岸田文雄政調会長は21日、訪問先のシンガポールで記者団に対し、憲法改正を推進するため、改憲をテーマにした地方政調会を開催する考えを明らかにした。国民の理解や世論の喚起につなげるのが狙い。これまで改憲に関しては積極的な発言を控えてきた岸田氏だが、安倍晋三首相(党総裁)の悲願である改憲にかかわることで、「ポスト安倍」に向けて存在感を発揮したい考えだ。
「党を挙げて憲法改正を動かしていきたい」
岸田氏はこう述べ、政調会長の立場で改憲の機運を高めていく考えを強調した。
自身が会長を務める岸田派(宏池会、46人)は伝統的にリベラルとのイメージがあり、名誉会長の古賀誠元幹事長は憲法9条改正に否定的だ。
自身も改憲に関しては発信を控えてきたが、この日、岸田氏は「未来に向け、宏池会らしい改正もありうる」と述べ、9条への自衛隊明記など4項目の改憲案の実現を目指すことを明言。さらに環境など新たなテーマを取り上げる必要性にも言及した。
岸田氏が「憲法シフト」に転じた背景には、首相が挙党態勢で改憲に臨む強い意思を示していることがある。岸田氏も周囲に「(首相と)話すたびに改憲に向けた強い思いを感じる」と話し、今月の党役員人事で首相に政調会長続投を告げられた際は岸田氏から改憲の必要性に言及した。こうした姿勢に周囲は「安倍政権最大の課題である改憲を党でリードする決意の表れだ」と語る。留任した二階俊博幹事長も改憲に関し積極的に発言してこなかったが、首相の意向を受け発信を始めており、岸田氏も存在感を示した形だ。
岸田氏は21日、現地で開かれた国際会議で講演し、社会保障制度改革に取り組む考えを表明。4年7カ月外相を務めた経験を生かし外交でもアピールした。
首相からの「禅譲」を基本路線に置く岸田氏だが、菅義偉官房長官らも存在感を増している。会議でポスト安倍について問われた岸田氏は「強い思いを持っている」と重ねて強調した。(シンガポール 田村龍彦)
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
Leave a Comment