「戦いが終わった今からが新たなスタートだ」。総裁選終了後、岸田文雄政調会長は岸田派(宏池会、47人)の会合でこう述べ、引き続き首相の座を目指す考えを強調した。 石破茂元幹事長に競り勝ち、次期総裁選の挑戦権につながる「2位」に食い込んだ岸田氏だが、初の総裁選は誤算続きだった。安倍晋三首相の出身派閥である細田派や麻生太郎副総理兼財務相率いる麻生派の後押しで有利に戦う-。そんな皮算用は、両派が早々に菅義偉官房長官の支持に回ったことで打ち砕かれた。 首相や麻生氏が距離を置く岸田派名誉会長の古賀誠元幹事長と決別できなかったことが「岸田離れ」の一因とされる。首相は一時、岸田氏に期待を寄せたが、弱点の発信力が改善されないことに見切りをつけたとの見方もある。政府高官は「首相は岸田氏では新型コロナウイルスの危機は乗り越えられないと判断した」と明かす。 岸田派内からは撤退論も浮上したが、平成30年の前回総裁選に出馬せず、「戦えない男」と揶揄(やゆ)された岸田氏にとって不戦敗は「政治的な死」を意味した。死中に活を求めたことで「戦う男に変わった」(閣僚経験者)との高評価も聞こえるようになった。メディアの露出が増し、知名度上昇にもつながった。 ただ、地方票は菅氏や石破氏に大差をつけられた。党員投票が全面的に反映される予定の次期総裁選に不安を残し、今後1年間の取り組みが焦点となる。(永原慎吾)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース