世界では戦争や有事の危機、国内では政治家や著名人への襲撃事件が相次ぐ。不穏な空気が漂う中、自由にみること、きくこと、はなすことが遮られていないか。記者が各地を歩いた。
沖縄本島の北に浮かぶ、1平方キロメートルに満たない無人島・屋那覇(やなは)島(伊是名村(いぜなそん))。
1月、海や砂浜を背景に、踊るように自撮りしながら「島を買った」と報告する中国人女性のSNS動画が拡散した。
小さな村役場の電話が鳴りやまなくなった。
「売国行為」「中国の領土が広がる」――。電話主に代わる代わるまくしたてられ、業務ができなくなるほどだった。
村や登記簿などによると、東京都港区の企業が2年ほど前、島の半分ほどの面積の土地を約3・5億円で那覇市を拠点とする不動産管理会社から購入した。
企業には複数の中国名役員がおり、女性と同姓の人物もいた。
「後々、必ずもうかると確信した」「アラブの王子様のような人と出会ったら、売ればいい」
女性はSNS動画の中で、開発や転売目的で購入した、と強調する。
土地を売った会社の取締役、奥茂治(75)は「社内でもめ事があり、高級リゾートを展開する会社への売却が頓挫して困っていたところ、今回の会社が名乗り出た」と話す。
役場への「電凸(でんとつ)…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル