台風9号から変わった低気圧の影響で、青森県は9日から10日にかけて大雨に見舞われた。下北半島の北側に位置する風間浦(かざまうら)村では、村内を東西に走る国道279号で計9カ所、土砂崩れが発生。下風呂、桑畑の両地区の721人が孤立状態となった。自衛隊などによる復旧作業が続く11日、避難所までの通行路が確保された桑畑地区に記者が入った。
48世帯100人が孤立状態に陥っていた桑畑地区は、津軽海峡に面した小さな集落だ。海岸線からすぐに急な傾斜地となっており、海と傾斜地の間のわずかな平地を国道279号が走る。その国道の至る所で土砂崩れの傷痕がむき出しになっていた。
大量の土砂を取り除くために大型の重機がうなりを上げ、泥を運ぶダンプカーと幾度となくすれ違った。ここには自衛隊の姿はなく、建設業者の作業員が泥だらけになりながら土砂を排除し、電力会社の従業員は垂れ下がった電線を修復していた。
11日午後、桑畑地区の避難所になっている桑畑温泉「湯ん湯ん」に到着した。約20人の住民が身を寄せていた。
地区内で一人暮らしをしている坪田里代子さん(73)は10日午前3時前、自宅周辺の異変に気づいたという。近くを流れる小さな川の水量が明らかに増え、橋脚に流木が引っかかっていた。「このままでは川の水があふれ出す。急いで逃げないと」。帰省していた娘の亜子さん(50)とともに避難所をめざすことにした。ただ、この時間、温泉施設は施錠されている。
里代子さんは消防に電話で連絡し、施設の解錠を依頼。その直後、亜子さんとともに暗闇の中を施設へ向かい、職員が駆けつけるまで駐車場で待機した。亜子さんは「施設に通じる道路が川のようになっていて怖かった」と話す。
橋脚に流木が引っかかり…生きた教訓
里代子さんが誰よりも早く避…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル