九州電力は20日、川内(せんだい)原発2号機(鹿児島県)の運転を停止した。テロ対策施設が期限内に完成しないためで、最新の知見で引き上げた基準を既存の原発にも適用する「バックフィット制度」で停止に追い込まれた。完成の遅れで原発が止まるのは、川内1号機に続き全国で2例目。今後、関西電力や四国電力の原発も同様に停止を余儀なくされる見通しだ。
テロ対策施設「特定重大事故等対処施設」は、テロ攻撃を受けても遠隔で原子炉を制御するためのもので、東京電力福島第一原発事故後の新規制基準で設置が義務づけられた。九電によると、施設は1、2号機で共用する部分が多いが、4月末時点で建屋の建設工事が約9割、設備や配管の工事が約7割終わっているという。
2号機は今月21日が完成期限だったが間に合わず、「基準不適合」の状態になるため、運転を止めた。通常の定期検査も実施し、来年1月26日の運転再開をめざす。1号機は今年3月16日に停止しており、12月26日の再開をめざしている。
2基の停止により、九電の業績への影響は避けられない。九電は、代わりに動かす火力発電所の燃料費負担が約250億円になると試算する。9月中旬から約2カ月間は玄海原発3号機(佐賀県)の定期検査も重なり、4基中1基しか原発を動かせない状況になる。
工事現場での新型コロナウイルスの感染拡大も懸念される。玄海のテロ対策工事では従事者2人が感染し、一時工事を中断した。川内でも工事で多くの作業員が県外から訪れている。この日も市民団体の約40人が敷地前に集まり、工事の中止などを訴えた。(女屋泰之)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル