静岡県の川勝平太知事は2019年12月24日に開かれた定例会見で、2019年のリニア中央新幹線建設問題について「JR東海との協議は格段に進展があった」と述べた。
静岡県は、南アルプストンネルの掘削工事に伴なう大井川水系の水資源問題で「全量戻し」を実現できなければ、静岡工区の着工を認めない立場を採っており、2019年はJR東海と専門部会を通じて科学的根拠に基づいた検討を行ない、住民や利水者の不安払拭に努めたという。
その結果、9月には対応を必要とする項目で検討不十分なものを47項目まで絞り込むことができ、進展があったと評価している。
とはいえ、問題がすべて解決していない点について川勝知事は「JR東海の問われたことに対してきちんと答えないといった態度に起因すると存じます」と述べ、改めて国に対して議論の「交通整理」を要望。国土交通省以外の水資源や自然環境に係わる省庁が議論に参加することに期待感を示すとともに、JR東海に対しては2020年に向けて「分かりやすい説明を行うなど、地元の不安に応える誠意ある回答を期待しております」とした。
この47項目については、2019年12月23日までにJR東海から見解が示されたということだが、これに関して川勝知事は「水を全量戻すという技術を現在持っていないという、それがますます明らかになってきたということじゃないかと思います」として、JR東海の技術の所在に疑問符を投げかけ、着工の条件となる利水者団体との協定を結ぶ域にはとても達していないという見解を示した。
また川勝知事は、通過する他県の間にあった「静岡県が工事の邪魔をしている」という誤解が解け、着工を認めないことが水の問題に起因していることが確実に共有されるようになってきたという認識も示し、問題が「水環境と経済効率のどちらを選ぶかという形に、今広がってきた」として、南アルプストンネルの工事にそのことが集中的に現れていると述べた。
《レスポンス 佐藤正樹(キハユニ工房)》
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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