差別の禁止と根絶をうたい、ヘイトスピーチに刑事罰を科すことを全国で初めて盛り込んだ「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例(差別根絶条例)」が16日、公布された。差別の解消に向けて市や市民の責務を定めた理念部分をはじめ、差別的取り扱いを禁じた規定の一部などが同日施行された。
罰則規定は条例が全面施行される来年7月1日から適用される。
この日施行されたのは、人権が尊重されるまちづくりのために差別撤廃施策の推進を義務付けた市の責務のほか、国籍や人種、性的指向、出身、障害などを理由にしたあらゆる差別的取り扱いを禁止した規定など。インターネット上の書き込みなどによって人権侵害を受けた被害者に対する市の支援の実施も含まれている。
条例は12日の市議会本会議で全会一致で可決、成立した。外国にルーツがある市民への差別的言動を処罰する刑事規制が国の法律に先んじて導入され、裁判で有罪になると最高で50万円の罰金が科せられる。行われた言動が条例の規制対象に当たるヘイトスピーチか否かについて市が意見聴取する審査会などの規定は、来年4月1日に施行される。
◆知事、効果を注視「取り組み効果を研究」
黒岩祐治知事は16日の定例会見で、川崎市でヘイトスピーチに罰則を課す全国初の差別根絶条例が成立したことについて「どのような取り組みが効果的か、研究していきたい」と述べ、注視していく考えを示した。
同市で12日に成立した同条例は、市内の公共の場で特定の国や地域の出身者への差別的言動を禁じ、勧告や命令に従わない場合は個人や団体名を公表し刑事告発する。裁判で有罪になれば、50万円以下の罰金を科す内容だ。
知事はヘイトスピーチは決して許してはいけないとした上で、川崎市が刑事罰を科すことについて「そうしなければ、押さえ込めないという思いがあったと思う。どのような効果が表れるか、しっかり見ていきたい」と強調。県の対応に関しては「川崎市の条例を含め、どのような取り組みが最も効果的か、整理、分析し、総合的な視点で研究していきたい」と述べるにとどめた。
神奈川新聞社
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