川崎市多摩区登戸の殺傷事件で、容疑者宅にテレビとゲーム機があった――。テレビ局が「速報」として伝えた内容をめぐり、SNS上で批判が集まっている。
以前からこうした報道を問題視してきた前参院議員・山田太郎氏(52)は、取材に「誤解が生じるような報道をしないで欲しい」と話す。
■「なぜわざわざ速報?」
川崎市多摩区登戸で2019年5月28日、児童ら19人が殺傷された事件で、容疑者宅にテレビとゲーム機があったと、一部のテレビ局が速報した。
速報した2局はそれぞれ「川崎死傷 男の自宅からテレビやゲーム機」「部屋にテレビとゲーム機 岩崎容疑者の自宅」との見出しで伝え、
「(警察の家宅捜査で)部屋からテレビやゲーム機が見つかったという」
「部屋は整然と整理されていて、テレビのほか、ポータブルのゲーム機やテレビにつないで遊ぶゲーム機などもあった」
などとした。
報道に対しては、テレビとゲーム機が事件に関係しているとの印象を与えるとして、SNS上で批判が噴出した。マンガやアニメなど表現の自由を守る活動に取り組む山田太郎氏も31日、J-CASTニュースの取材に「テレビやゲーム機はどこの家庭にもあるのに、なぜわざわざ速報で伝えるのか」と話す。
思い出される宮崎勉事件
山田氏によれば、これまでにも同様の報道は少なくなく、議員時代にも問題提起してきたという。代表的なのは1988~89年の東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件で、漫画などが散乱した宮崎勤元死刑囚の部屋が何度も報道された一件だ。
「それ以降、漫画愛好家が苦しんだ時代が続いた。漫画を読んでいると犯罪者になりかねないとの認識が当時はあった。平成の幕開けがそうしたスタートで、令和になってもこうした報道がでるとは」と呆れる。
山田氏は「他社との取材合戦で、犯人の実像を詳細に表現したいというのはよくわかる」としつつ、「現時点では何が原因かはわからない。何かを報道すれば傷つく人たちもいる。今回のケースでは部屋に色々なモノがあったはずなのになぜゲーム機とテレビをセレクトしたのか。フェアではないと思う。誤解が生じるような報道をしないで欲しい」
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)
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