女子学生の割合が少ない大学工学部で、入試に「女子枠」を設ける動きが広がっている。背景には、多様性の確保がなければ、研究や技術開発で後れを取るとの大学側の危機感や、産業界からの要請がある。国も理工系の女子学生確保に取り組む大学への支援を打ち出し、後押しする。(上野創、山本知佳、編集委員・増谷文生)
東工大は143人、学長「歯を食いしばってでも」
「同じような人間の集団では柔軟性、創造性が発揮されにくい」
東京工業大の益一哉学長は11月、2024年度の入学者から総合型・学校推薦型選抜に「女子枠」を設ける意義をこう語った。
東工大の学部段階の女性比率は約13%。女子高校生向け説明会などの取り組みもしてきたが、なかなか増えない。25年度までに計143人の「女子枠」を設けることで、20%を超えると見込む。益学長は「日本の理工系分野はジェンダーバランスで世界に遅れすぎている。歯を食いしばってでも変えないといけない」。
文部科学省の21年度学校基本調査によると、工学系学部に所属する女子大学生は約6万人。工学部生約38万人の16%に満たず、学部別の女性比率は最も低い。世界的にみても低く、経済協力開発機構(OECD)によると、女性の大学入学者のうち理工系に進学した女性は7%(19年)で、OECD諸国平均15%を大幅に下回った。
イノベーション分野の研究では、多様性のあるチームの方が高い成果を上げることが知られている。
入試で女子枠を設ける例や、女子大が工学部を開設するなど、工学系に女子を呼び込む大学での動きが広がっています。記事後半ではその背景や、反応も紹介します。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル