四つの市民襲撃事件で殺人罪などに問われた特定危険指定暴力団・工藤会(北九州市)の最高幹部2人に対する福岡地裁での公判は、被告人質問が終了した。2人はすべての事件について関与を否定したが、検察側が事件の背景とみる事情に通じている様子や、被害者への怒りをうかがわせる場面も見られた。
公判が続くのは、トップで総裁の野村悟被告(73)と、ナンバー2で会長の田上不美夫被告(64)。
4事件は、1998年に北九州市の路上で元漁協組合長(当時70)の男性が頭などを撃たれ死亡した事件▽2012年に北九州市の路上で元福岡県警警部の男性が左足などを撃たれた事件▽13年に福岡市の路上で看護師の女性が頭などを刺された事件▽14年に北九州市の駐車場で歯科医師の男性が足などを刺された事件。
検察側はいずれも強固な組織性を背景に両被告が指揮命令したとみる。被告人質問は7月30日~9月3日の計8日間で両被告が事件ごとに1日ずつ、弁護側と検察側の質問に答えた。
元漁協組合長射殺事件では、両被告は元組合長との面識を否定。検察側は事件の背景として漁協が絡む港湾工事の利権に工藤会が関心を寄せていたと指摘するが、田上被告は「関心がない」と主張。一方で、元組合長を「北九州の海のことには絶大な力を持っていると聞いていた」と話した。
元警部銃撃事件では、検察側は野村被告が元警部から呼び捨てにされたことや、元警部が被害届を出させた恐喝事件で田上被告が実刑判決を受けたことへの恨みが背景にあると指摘。だが、野村被告は関与を否定。田上被告も襲撃を知っていれば「そんなバカなことはやめろと止めている」と述べた。
看護師刺傷事件では、検察側は…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル