宮城県や岩手県が相次いで公表した「最大クラスの津波」の浸水想定に、戸惑う人は少なくない。第1波の直撃で防潮堤が壊れるとされ、東日本大震災の時を超える範囲が浸水することになったからだ。震災後、巨額予算を費やして防潮堤を復旧したのは何のため? また壊れてしまうのか? 海岸工学者として防潮堤の指針づくりにもかかわってきた有川太郎・中央大教授に質問をぶつけた。
――震災による津波で、各地の防潮堤(堤防、防波堤など)が壊れました。
「当時は国の研究所に所属し、各地で防潮堤の被災メカニズムを調べた。岩手県釜石市の湾口防波堤は、前面と背面の水位差に耐えられず、1個数万トンもあるケーソン(大型の箱)の多くが流された。盛り土にコンクリートを張る形の防潮堤(傾斜堤)では、波が堤防の高さを越える『越流』によって裏法面(のりめん)を覆うコンクリがはがされ、背後で『洗掘』が生じて、法面全体がずるずる流された」
「津波の大きな力を考えれば…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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