巨大防潮堤で生き物は消えたのか 干潟に映る震災10年

 東日本大震災の被災地に津波対策で築かれている防潮堤は、総延長432キロのうち約8割が完成した。巨大なコンクリートの壁の建設により干潟などが消え、海と陸が織りなす多彩な環境に暮らす生き物が追いやられる――。建設当初からあった懸念は、現実となったのか。

河川敷に残る自然、河口は…

 「あっ、いた!」。5月17日、福島県いわき市南部。鮫川の河口に近い支流の河川敷で、国立環境研究所茨城県つくば市)海域環境研究室の金谷弦主幹研究員は、ヨシ原の中をはい回るハマガニを見つけた。

 「ヨシ群落の中に穴を掘って生息する東北では珍しい種。川べりがコンクリートで固められずに残ったおかげだ」とほおを緩めた。

拡大するヨシ群落に生息する、紫がかったハサミが特徴のハマガニ。ヨシ群落が干潟とともに減れば絶滅の恐れも高まる=福島県いわき市

 だが、貴重な自然が残った支流の河川敷とは対照的に、河口周辺の干潟では多くの生き物が姿を消した。

 震災時、鮫川の河口周辺は高…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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