広島市による保存工事が進む世界遺産・原爆ドーム(中区)の内部が27日、報道関係者に公開された。昨年9月に始まった工事では、ドーム部分の白っぽく変色した鉄骨のさびを落とし、被爆当時の焦げ茶色に塗り直したり、柱に入った亀裂にセメント材を注入して補修したりしている。完成は今年3月の見通し。
この日午前、原爆ドームを囲む鉄柵の内側に入ると、地面には倒壊したれんがが散在し、中庭に設置されたらせん階段は折れ曲がっていた。天井のドームまで組まれた足場を登ると、周囲には高い建物が立ち並び一部視界が遮られるが、ビル6階にあたる高さ25メートルのドーム部分からは、全方位で広島の街が見渡せた。ドーム屋根の骨組みの鉄骨は少し折れ曲がり、一部はねじが外れていたが、何とか形を保ったドームからは当時市民をわかせたモダンな雰囲気が伝わってきた。
原爆ドームは1915年に広島県物産陳列館として完成。96年に世界文化遺産に登録された。広島市が登録する86件の被爆建物の中で最も爆心地に近い建物だ。保存工事を請け負う清水建設の高橋伸二さん(61)は「被爆の悲惨さを伝える建物として、できるだけ長生きしてもらえるよう最後まで慎重に工事を進めたい」と話した。(比嘉展玖)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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