市街地のクマ出没に奔走 専門職員が考えるクマとの「適度な距離」

 2023年は、クマの出没が激増した一年だった。人とクマとの不幸な遭遇をなくし、「適度な距離」を保つにはどうすればいいのか。クマの生態や現場対応に詳しい専門家、近藤麻実さん=秋田県自然保護課主任=に聞いた。

 東北地方の自治体で初めてクマ対策の専門職として採用され、現場の指導にあたっています。麻酔銃を使えるかといった法的問題を含め、全体状況を見ながら対応を助言しています。

 今年度の秋田のクマ出没は異常です。人身被害は過去最多だった2017年度の20人を大きく上回る70人に達し、警察に報告のあった目撃情報だけでも昨年度の約730件に対して今年度は3600件以上。農作物被害は10月末現在で1億3千万円に上ります。市街地の出没など対応の難しいケースでは、市町村や警察からの要請で急行しますが、そうした「緊急出動」を含め現場対応は100回を超えました。

 人が襲われた悲惨な現場では、住民や地域に及ぼす恐怖を実感します。農作業で外出するのも怖い、犬の散歩もできなくなったなど、日常生活が制約され、数字に表れない精神的被害の大きさを感じます。

2019年のクマ出没対応中の事故

 クマとの不幸な遭遇を避ける…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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