新型肺炎の流行で中国・武漢市に足止めされていた在留邦人の帰国が始まった。29日には第1陣の206人が羽田空港に到着し、安堵(あんど)の表情を見せた。感染が広がらないように注意を払いつつ、次の帰国への備えが官民で進む。
帰国後も症状のみられなかった人たちのほとんどは29日午後、千葉県勝浦市の「勝浦ホテル三日月」に大型バスで移動した。感染していないと判明するまで外出しないよう求めている政府が、東京近郊に自宅のない人たちのために滞在先として確保した。滞在の希望者が多く、政府は第2陣の帰国にそなえて、東京都にも宿泊施設の確保を要請した。
国や千葉県によると、一般の宿泊客は別の施設にふりかえられたという。武漢からの帰国者は主に居室で過ごしてもらい、食事は弁当を用意する。大浴場などの共用部分はできるだけ使わないようにしてもらう。滞在費は国が負担する。
ホテルには県職員と、病院の看護師が常駐し、24時間対応する。体調に異常があった場合には症状に応じて、県内の指定医療機関に搬送するという。
県の担当者は「感染リスクが極めて低い人たちだ。国や専門家らと健康管理に努めていく」と話した。
勝浦市観光協会の渡辺幸男会長は「突然で驚いたが、帰国した人の役に立てるのは良いこと」と話す一方で、「不安がないかと言えばうそになる。風評被害が起きないよう、国には正確で具体的な情報をきちんと公開してほしい」と話した。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル