村上友里
ナイフのほか、栓抜きや缶切りなど、さまざまな機能がついた折りたたみ式の「十徳ナイフ」。正当な理由がないのに隠し持っていたとして、軽犯罪法違反罪(凶器携帯)に問われた鮮魚店主(48)の控訴審判決が8月1日、大阪高裁で言い渡される。有罪とした一審判決に対し、店主側が控訴し、無罪を主張している。
店主は2021年12月、鮮魚店の仕事を終えて帰宅中、正当な理由がないのに大阪市内で十徳ナイフ(刃体約6・8センチメートル)をかばん内に隠し持っていたとして、同法違反罪で起訴された。
店主側は公判で、「鮮魚店の仕入れの時、商品の箱にかけてあった結束バンドを切るのに使っていた」とし、「普段の仕事や日常生活でも持っていたら便利」などと主張していた。
大阪簡裁は今年1月、「かなりの期間、普段の仕事や日常生活でナイフを使っていなかった。漠然とした目的で持ち歩くことを許すことは、法の趣旨からみて相当でない」と判断。科料9900円の有罪判決を言い渡した。
控訴審で、店主側は改めて無罪を主張。検察側は控訴棄却を求めている。
人に危害を与える恐れがある道具を携帯することが刑事裁判で争われた例は、他にもある。
ヌンチャクを車内に隠し持っていたとして同法違反罪で起訴された男性は、一審・玉島簡裁で科料9900円の有罪判決を受けたが、二審・広島高裁岡山支部では一転、正当な目的があったと認められ、無罪判決が確定した。(村上友里)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル