藤谷和広、竹中美貴
千葉県八街(やちまた)市で6月、小学生の列に飲酒運転のトラックが突っ込み児童5人が死傷した事故で、自動車運転死傷処罰法の危険運転致死傷罪に問われた無職梅沢洋被告(60)の公判が15日、千葉地裁(金子大作裁判長)で開かれた。被告が勤務していた会社の元上司の証人尋問があり、昨年6月ごろ以降、取引先から被告の飲酒運転を疑う連絡が4回あったが、直接口頭で注意したのは1回だけだったと明かした。
元上司は尋問に対し、前の晩に飲んだ酒の影響と思っていたと説明。被告をドライバーから外さなかった理由を「降ろすとドライバーの確保が難しいという事情もあった」と語った。
この日は被告人質問もあり、被告は飲酒運転を週に2、3回していたと明らかにした。業務の途中に高速道路のパーキングエリアなどで週1、2回、飲酒していたほか、会社で日報を書きながら飲酒し、自家用車で帰宅することもあったという。ドライバーを続けていた理由については、給料がよかったことを挙げた。
被告は事故発生時の状況についても説明。児童の姿には気づかなかったとし、事故原因について「飲酒による居眠りだと思います」と語った。被害者らへの思いを問われると「ごめんなさいという言葉しか出てきません」と述べた。法廷には被害児童の関係者用の席が設けられ、周囲から見えないよう仕切り板で囲われていた。この席からすすり泣く声が聞こえ、公判は一時中断した。(藤谷和広、竹中美貴)
事故で死傷した児童の家族は15日、「被害者家族一同」として、弁護士を通じて報道機関に「裁判はまだ進行中ですので、それを見守りたいと思っております。本日の裁判の中で被告人が常習的に飲酒運転をしていたことが明らかになったことに対しては、改めて強い憤りを覚えるとともに、被告人の飲酒運転さえなければ防ぐことができる事件だったのではないかという思いを強くしております」とのコメントを寄せた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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