東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域の一部で避難指示が解除され、住民が暮らしを再開するまで半年を切った。ただ、解除を予定する福島県大熊町では集落を二分し、帰還困難区域にぐるりと囲まれた「飛び地」が出現するなど、いびつな避難解除に戸惑う人たちもいる。
国から「相談なし」 自由な往来は不透明
第一原発が立地する大熊町。町の中心部だったJR大野駅から南東に約3キロ離れた、国道6号沿いに避難指示が続く集落「町区」がある。国道を復興工事のトラックや乗用車が行き交う中、道路脇のバリケードの向こうには住民なき家屋が立ち並び、静寂に包まれている。
震災前、集落には約90世帯が暮らしていた。原発事故で放射線量が高い帰還困難区域となったが、国は2017年、約140ヘクタールの集落のうち約20ヘクタールを優先的に除染する特定復興再生拠点に指定。来年春に避難指示が解除される見通しだが、区長の佐々木祥一さん(72)は「放射線量に拠点内外で差が無いのに地域がバラバラになった。国から事前の相談や説明もなかった」と表情は浮かない。
拠点に含まれるのは集落全世…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル