年間公募枠780人の狭き門、あこがれの秘境路線 立山砂防トロッコ

筋野健太

 乗りたくてもなかなか乗れない鉄道。

 そんな鉄道ファンがあこがれる路線が、北アルプスの山々のふもと、富山県立山町にある。立山砂防工事専用軌道、通称立山砂防トロッコだ。沿線が深い雪に覆われる冬を前に運行を終え、来年6月上旬の再開を待つ。

 立山砂防トロッコは、労働安全衛生法に基づいて国土交通省北陸地方整備局立山砂防事務所が管理する工事用軌道。砂防施設建設に使う資材や人員の輸送を担うために設置された軌道だ。

 立山黒部アルペンルートの玄関口、ケーブルカーの立山駅と同じ千寿ケ原の立山砂防事務所前から、立山カルデラ入り口にある水谷連絡所までの17.7キロメートルを最高時速約18キロで、約1時間45分かけて結ぶ。

 路線の標高差は640メートル。トロッコは常願寺川に沿う路線を、木々が生い茂る森の隙間をくぐり抜けるように上っていく。途中、形状が異なるいろいろな砂防ダム土砂崩れの跡も見ることができる。

 路線最大の見どころは日本一の連続18段スイッチバックだ。列車は樺平(かんばたいら)の急斜面をジグザグに前進、後退を繰り返して上がったり下ったりし、高低差約200メートルを一気に上っていく。

 トロッコは普段は、砂防工事や保線工事に携わる人たちや工事用の資材、終点の水谷にある宿舎で生活する約200人の作業員の生活物資などを運んでいて、旅客輸送はしていない。

 だが、1984年からは、立山カルデラや砂防工事の体験学習会のために一般客でも乗車できるようになった。砂防事務所に隣接する立山カルデラ砂防博物館や富山県が主催していて、参加は公募制。個人・団体合わせて年間の最大参加人数枠は780人ほどで、今年の倍率は最大11.5倍と人気は高い。

 トロッコの運行は例年6月上旬から10月下旬まで。トロッコに乗車する体験学習会は7~10月に個人、団体向けに毎週3回開かれている。(筋野健太)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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