「子どもが通う園が幼保無償化の対象にならない。実質的に幼稚園と変わらないのに…」。10月1日からスタートする幼児教育・保育の無償化を前に、福岡市の母親から戸惑う声が届いた。幼稚園と同様の教育を行いながら、法人格や敷地面積の問題で幼稚園の基準を満たさず、無償化が適用されない施設が全国にある。取材を進めると、制度の枠からこぼれ落ちた現場の悲鳴が聞こえてきた。
9月上旬、一軒家を改装した園舎の広いリビングで、子どもたちが木や布のおもちゃを広げて遊んでいた。昼前には外へ出て、砂場でお団子作り-。幼稚園でよく見る光景だ。
無償化の対象で「幼稚園類似施設」
福岡市南区にある「こどもの園 風の森」は2012年開所。3人の幼稚園教諭が3~5歳児12人を午前9時~午後2時半で預かっている。子どもの自主性を尊重するシュタイナー教育を取り入れ、田植えや稲刈りなど季節の行事を大切にする。縦割りクラスで、異年齢の園児たちがきょうだいのように一緒に過ごしている。
同園は幼稚園ではなく、「幼稚園類似施設」。無償化の対象ではない。
冒頭の母親は「子どもを家庭的な環境で育てたい」と同園を選んだ。「子どもを預ける園は自分で選びたいし、いろいろな教育スタイルを認めてほしい」
幼稚園類似施設は都市部を中心に全国に
新しい制度の補助対象は、幼稚園、認可保育所、認定こども園に通う3~5歳児のいる全世帯と、0~2歳児のいる住民税非課税世帯、認可外保育施設については共働きなど保育の必要性のある家庭。幼稚園類似施設も認可外施設として届け出を出せば、共働き家庭などに限り、補助の対象となる。実際には専業主婦家庭が多いことや、届け出によりこれまで通りの教育ができなくなる恐れなどから、届け出をしない施設もある。風の森もその一つだ。
文部科学省によると、幼稚園類似施設は都市部を中心に全国にあるが、数は調査中。九州7県の担当課に聞くと、福岡県が少なくとも2園把握していたが、他の6県は「全く分からない」という。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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