前田朱莉亜
昨年7月、当時2歳8カ月の男児が縦型の自動洗濯機の底から手を差し入れて洗濯槽の回転部で指を切断する大けがを負っていたことが分かった。日本小児科学会が発表した。この洗濯機は、四隅だけが高くなった「防水パン」と呼ばれる洗濯機の受け皿の上に設置されており、防水パンの底との間に空間が生じていたという。
小児科の医師から寄せられた情報に基づく同会の「傷害速報」によると、事故が起きたのは2013年に製造された洗濯機で、四隅の高さが約6センチの防水パンの上に設置されていた。洗濯機の脚が長さ約1センチあり、防水パンの底と洗濯機には約7センチの空間があったという。男児はこの空間から手を入れたとみられ、左手薬指に大けがをした。
国内の大手家電メーカーなどでつくる日本電機工業会によると、一般的な縦型の洗濯機は、底部に洗濯槽を回転させるための装置や冷却ファンが集まっており、覆いがない状態になっている。洗濯槽が斜めに設置されているドラム型は回転部には触れられない構造だという。防水パンは近年、配管を通したり点検をしやすくしたりするため、かさ上げタイプの流通が増えているという。
電気用品安全法で、洗濯機については底に手が入らないよう規格が定められているが、洗濯機の設置場所に関する規定はない。
担当者は「取り扱い説明書には以前から運転中に底の部分に手足を入れないよう記載してきたが、今年度からは本体にイラストなどで注意を呼びかける表示をする対応をとっている」と話す。一方で、子どもの事故に詳しいNPO法人「Safe Kids Japan」の理事長で小児科の医師、山中龍宏さんは、「底部分にカバーをつけるなどして、子どもが内部に触れないような構造に変えることが望ましい」と指摘する。(前田朱莉亜)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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