「尾道マッチ今昔物語」と題した企画展が、広島県尾道市土堂1丁目の尾道商業会議所記念館で開かれている。かつて飲食店や企業、銀行などが配った広告マッチ約550点が並び、個性的なデザインが目を引く。
マッチは、実用品を兼ねた広告媒体だった。1970年代に登場した安価なライターにやがて取って代わられるが、喫茶店やバーなど飲食店や企業がデザインで個性を競い、コレクターにも人気だった。
展示しているのは戦後の高度成長期を中心にした広告マッチ。今はない店のものも少なくない。観光名所・千光寺公園や68年開通の尾道大橋をスケッチしたものや、過去に開かれていた「尾道大菊人形展」をPRするマッチも。夜のお店が配ったマッチの中には、なまめかしいデザインのものもあり、一大歓楽街があった時代を思わせる。
形状も様々。おなじみの箱形のほか、広告面積の多い三角型、厚紙でできたのを1本ずつちぎって使うブックマッチ型もある。
いずれも尾道学研究会の所蔵。コレクター3人から寄贈されたうちの一部という。市商工課の担当者は「インターネットがない時代の小さな広告から、当時の世相が読み取れる。過ぎし日の尾道を振り返ってほしい」と話す。
10月28日まで。無料。午前10時~午後6時。木曜休館(祝日は開館)。(北村哲朗)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル