大雨の影響で佐賀県内の各地で浸水し、武雄市や大町町で被害が相次いだ。朝日新聞の電話取材に住民らは「海のようだ」「心配」。大雨被害の大きさに驚き、不安をのぞかせた。
六角川が氾濫(はんらん)した武雄市では、市内を通る国道が通行止めになり、2年前の記録的な豪雨と同様に水につかった。
同市朝日町の60代男性は、激しい雨音で午前1時ごろに起きた。自宅2階にあがった後、6時ごろには1階の床上まで水が押し寄せたという。同市北方町の梅林寺の住職の妻、山中京子さん(64)は「(寺の)周辺は家が全て浸水し、海のようになっている」と話した。13日夜は警報を知らせるスマートフォンのアラームで眠れなかったといい、「寺から出ることができず、食料がなくなるのが不安」と心配し、「水につかった様子を見て、また(2年前と同じ)かと思った」と話した。
同市武雄町に住む県立武雄高校の北村敬校長は13日夜、雨が気になって何度も目が覚めた。翌日夕には自宅近くも冠水して外に出られなくなったといい、「予報では夜遅くまで大雨が続くと聞いている。今夜が心配」と話した。
同市でサイクルショップを営む山口富弘さん(78)によると、店舗1階が床上浸水。「展示車が何台か泥だらけになった。使い物にならない」と語った。
佐賀・大町町 病院が「孤立」
一方、武雄市に隣接する大町町では、同町福母の順天堂病院の周辺が2年前の大雨の被害と同様に冠水し、孤立するなどした。
同町のJR佐世保線沿いで建材店を営む男性によると、線路がかろうじて見えるほどまで増水した。順天堂病院などがある地域も一面水につかっていたのが見えたという。
「このまま降り続けば、うちも浸水するかもしれない」。男性はそう不安がった。男性によれば、順天堂病院に勤める看護師から、自宅近くに車をとめさせてほしいと頼まれたといい、その看護師は地元消防団が用意したとみられるボートに乗り、病院に向かったという。
同町の理美容店の男性店長は、前夜から大雨を警戒し、夜通しテレビをつけて情報収集に努めた。「雨音がひどくて、テレビもずっと警報を流していた。不安でなかなか寝られなかった」と語った。店舗前の国道34号は通行止めになっており、客から「今日は行けない」などと予約のキャンセルが相次いだという。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル