各地で相次いだ強盗事件や60億円の被害がある特殊詐欺事件に絡み、フィリピンから送還された4人が同国収容中に使っていたとされる携帯電話やタブレット端末の解析を警視庁が進めている。ただ、フィリピン側から引き受けた約15台の中には、データがほとんどない端末もあったという。事件は匿名性の高い通信アプリで指示や報告が行われていた疑いがあり、残る端末の解析が焦点となっている。
フィリピンを拠点とした特殊詐欺や一連の強盗事件では、指示役と実行役とのやりとりが通信アプリ「テレグラム」を使って行われていたとみられている。言論弾圧を避ける目的で高い匿名性が確保されたアプリの特徴が、犯罪に悪用される形となっていた。
テレグラムの公式ページなどによると、テレグラムはロシアの実業家によって2013年にサービスが始まった。「LINE」のようにメッセージや画像などを送受信でき、世界中に7億人を超える利用者がいるとされる。ダウンロードして携帯電話番号を登録すれば誰でも無料で使うことができる。
テレグラムの秘匿性の高さについて、サイバーセキュリティーに詳しい慶応大学SFC研究所の小宮山功一朗・上席所員(44)は、「アプリが生まれた背景に起因している」と語る。
ロシア当局からの圧力
小宮山さんによると、創業者…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル