今年9~11月に広島県東部で開かれる予定の国際芸術祭「ひろしまトリエンナーレ2020 in BINGO」について、広島県が、外部委員会を設けて展示内容を事前に確認する方針を明らかにした。美術関係者らからは、「表現の自由」をめぐって批判や憂慮の声があがっている。
ひろしまトリエンナーレは広島県などでつくる実行委員会が主催する。2月下旬の県議会代表質問で佐伯安史・商工労働局長は、昨年実施したプレイベントに多くの批判が寄せられたとし、展示内容を事前に把握できていなかったことが原因の一つと説明。トリエンナーレの展示内容は関連イベントも含め、すべて事前に外部の委員会で確認すると表明した。
県は2月中旬、県内の美術館関係者らを集めて会議を開いていた。その場で配られた案によると、県の担当者やキュレーター(展示企画者)らでつくる「アート部会」が展示の計画を立案し、その検討内容をもとに、実行委が任命する外部の「アート委員会」が展示内容を選定。アート委員会は、観光、地域(経済)、芸術の各分野の有識者7人程度で構成され、展示内容の決定は、原則として全会一致としている。ただ、県の事務局はこれらの内容について「案はまだ固まっておらず、変更される可能性も十分ある」としている。
方針を受け、美術評論家連盟(会長=林道郎・上智大教授)は、外部機関による出展可否の検討と決定は「公然たる検閲」と指摘する声明を発表。設置された場合、ひろしまトリエンナーレを「信頼に足る健全な国際展として認めることも相対することもできない」とした。作家らの組織「アーティスツ・ギルド」も声明で、「およそ『万人』に対して価値が理解可能なもの、快いとされるものだけを『芸術』と呼ぶことや、そのような偏向は、慎重に避けなければならない」と訴えた。
昨年10~12月に開かれたプ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル