比嘉展玖、岡田将平
広島城(広島市中区)の西側で、旧日本陸軍の輸送部隊「中国軍管区輜重(しちょう)兵補充隊」の施設の遺構が見つかった。15日、市が明らかにした。爆心地から1キロ以内にあり、原爆では、この場所で400人以上が犠牲になったとされる。過去最大級の被爆遺構という。
市文化振興課によると、見つかったのは建物の基礎や石畳、水路など。広島城一帯は戦時中、中国軍管区司令部など軍関係の施設が多くあった。輜重兵補充隊は、弾薬や食料、服などの軍需品を運び補給する部隊で、同課などによると、米軍が原爆投下前に撮影した航空写真などの資料から、軍馬がいた厩舎(きゅうしゃ)や馬が水を飲む水槽、自動車を収める車廠(しょう)、兵舎、弾薬庫など約30施設があったとみられるという。戦後は戦災者向けの住宅が立ち並んだが、その後、中央公園広場として整備されていた。
公園では、2024年の開業を目指して新サッカースタジアムの建設計画が進んでいる。これに伴い、市は文化財調査のために昨年10月から22年3月までの予定で、約1万4千平方メートルの範囲で発掘調査をしている。市は、遺構を写真で記録したうえで撤去する方針。市スタジアム建設部の担当者は「建設スケジュールに影響はない」と話す。
スタジアム建設を巡っては以前、調査で広島城の石垣の一部とみられるものが見つかり、建設予定地を西側にずらし現在の位置になった経緯がある。市は今後、より深く掘り進めて広島城の遺構も調べる。(比嘉展玖、岡田将平)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル