広島市安佐南区の30代の自営業男性が広島県内で初めて新型コロナウイルスの感染者と確認された件で、市は8日、男性が受診した4医療機関では、健康観察中の1人を除き、現段階で感染者が出る恐れはないと断定した。来院した患者たちを含めて「この1人以外に濃厚接触者はいない」としたためだ。ただ、濃厚接触者の定義には幅があり、市には医療機関名の公表を求める声が寄せられている。
市によると、男性は2月15日から3月5日までの間に、4医療機関を計8回訪れた。市の聞き取りに対して、男性は発症後はマスクを着け、来院したほかの患者と待合室で長い時間話すなどの接触はなかったと説明しているという。
濃厚接触について厚生労働省は「対面で互いに手を伸ばしたら届く約2メートル以内の距離で、一定時間以上会話するなどした場合」と示す。患者と同居する家族などが該当する。医療従事者については「診療時に感染防護具が破れていたなど適切でない場合、個別に判断する」としている。
市はこれらを踏まえて、男性と同じ時期に来院した外部の人には「現段階では濃厚接触者はいない」と結論付けた。
市は診察した医師や看護師についてはこの日、男性が受診した中区の医療機関で濃厚接触者1人がいたと説明した。「マスク着用の記憶が定かではない」と話しており、医療機関の判断に従った。18日まで出勤させずに健康観察を続ける。
これとは別に、やはり男性が受診した安佐南区の医療機関の2人の陰性を確認した。関係者によると、診察の際に男性がマスクを外した時間があり、ウイルス検査をしたという。これ以外の医療従事者は、マスク着用など感染を防ぐ対策は適切だったとした。
ただ、ある医療機関の従事者は「市は、従事者がマスクをしていたかどうかを特に重視していた」と明かす。マスクだけで感染症を防御するのは難しいとして「濃厚接触者の定義は実は極めてあいまいだ。これから感染者が出ないかどうか心配している」と語る。
市には院内感染を危惧する市民から、4医療機関の名称の公表を求める声も届く。市健康推進課の坂本裕敬・保健予防担当課長は「今のところ、公表は考えていない。今後も医師たち専門家と連携し、ケース・バイ・ケースで対応する」と理解を求める。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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