広島市長「原告はもう一踏ん張りを」 控訴の経緯を語る

 75年前、原爆投下後に降った「黒い雨」をめぐる訴訟で、広島地裁が国の援護対象地域外にいた原告たちを「被爆者」と認めた判決から2週間。広島県と広島市は12日、国と共に控訴に踏み切った。この日、松井一実市長と原告側弁護団が記者会見で語ったことは――。

「多くの関係者に良い対応できるように」

 松井一実・広島市長の主な発言は次の通り。

 11日、加藤勝信・厚生労働相とウェブ会議をして、黒い雨地域の拡大も視野に再検討を行うべく、最新の科学的技術で可能な限り検証を行う方針が示された。一方で、広島地裁判決が十分な科学的知見に基づいたとはいえない内容で、上訴審の判断を仰ぐべきだと強く要請され、国と足並みをそろえて控訴せざるを得ないと判断した。

 ――控訴に至る経緯は。

 仮に控訴しなければ、今回の原告は被爆者健康手帳が交付されるが、同じような方は新たに訴訟を起こす必要がある。全員を救済するための援護措置を正面から認めないと、黒い雨を体験した方々の間で対応が分かれることになる。多くの関係者に良い対応ができるよう、控訴した方がいいのではという気持ちになった。

 6日に原爆死没者名簿を奉納したが、広島ではここ最近は毎年5千人ほどが亡くなっている。厚労相にも「スピード感を持って取り組む」と言ってもらえた。

 ――スケジュール感は。

 具体的な話は聞いていないが、…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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