広島市に残る最大級の被爆当時の建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」について、一部解体の計画を示している広島県は、解体の着手を先送りする方針を決めた。2020年度当初予算案に関連費用を計上する予定だったが、全棟保存を求める市民の要望が相次ぎ、県議会からも「時期尚早」との声が上がったためという。ただ一部解体の計画は変えず、引き続き議会などと協議する。
県は被服支廠全4棟のうち県が所有する3棟中2棟を20年度から解体し、残る1棟の外観を改修して保存する計画を県議会に示した。だがその後県が意見を募ったところ、2444件のうち約6割が解体計画に反対だった。県議会の中本隆志議長は1月31日、「今の段階で決めるのは時期尚早」と湯崎英彦知事に申し入れていた。
被服支廠は爆心地から約2・7キロ南東にある。1913年築で、震度6程度の地震で崩壊する危険があるとされている。(松島研人)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル