【動画】新幹線より100倍面白い?現役運転士に聞いた広電車両の魅力とは?=遠藤真梨、上田潤撮影、広島電鉄提供
広島電鉄物語 第二部「動く路面電車の博物館」⑤
1980年代以降、日本の路面電車は新しい技術の導入により、その機能が一変していく。同時に、運営事業者側の意識も変わり、単に「人や物を運ぶ」から「乗客が快適に過ごせる」へと向かっていった。
その象徴のひとつが乗客の利便性をより重視した欧州仕様の超低床車で、広島電鉄でも導入された。
路面電車の進化はいまも続く一方で、鉄道業界は足元のコロナ禍で再び危機に直面している。広電の路面電車が向かう未来には何が待っているのか――。
700形「初の間接制御車」
1982年、市内専用線としては55年以来となる700形4両が営業運行に投入された。この車両には3500形に搭載された間接制御を適用した。
これまでのように、屋根の上にある、架線とつながる集電装置から大きな電流が運転席の制御器に直接入らないため、安全性が高まった。運転席周りの機器類も減り、スペースが広くなった。この制御方式はこれ以降の電車に標準装備されるようになる。
また、モーターも都市部のマンション街を走る市内線の走行音をより抑えられる「平行カルダン駆動」と呼ばれる機能が導入された。
翌83年には800形が新造された。電車のモーターに加える直流電流を高速で通電、遮断できる「チョッパ制御」という技術を取り入れたことで、電気抵抗器が不要になり、省エネが一層進んだ。
ただ、「独特の走行音がある」(広電幹部)といい、台車の軸バネにゴムを活用することで静音効果も高めた。「新技術が詰まった軌道用(市内線)車両」と言われ、「運転が楽になった」という運転士の声が聞かれるようになった。
「路面電車ルネサンス」 低床から超低床へ
1990年代後半、広電は運…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル