神奈川県の行政文書を保存したハードディスク(HDD)計18個がインターネットオークションで売られ、納税に関する個人情報や職員名簿などの大量の秘密情報が流出していたことが6日、県への取材で分かった。HDDの廃棄に携わった業者の社員が持ち出して出品していた。落札した男性側から連絡があり、県は9個を回収したが、残り9個を回収できていない。警視庁は同日、この社員が別のHDDを盗んだとして窃盗容疑で逮捕。大規模な流出の実態解明を進める。
黒岩祐治知事は同日午後に記者会見し、「県への信頼を揺るがせた」と謝罪した。この社員について、さらに別のHDD5、6個を持ち出そうとした疑いがあることが判明した。
県によると、回収したHDDは縦約15センチ、横約10センチ、厚さ約2センチで、データは計27テラバイトの大容量に上る。個人の名前や住所を記した自動車税の納税記録や法人名を記した税務調査の通知、課税に関する職員名簿、県庁内部の業務記録など複数の部局が扱う文書ファイルが含まれていた。18個には主に平成25~30年度の行政文書が含まれ、保存したファイルはワードやエクセル、画像、音声が混在。担当者は「総量を把握しきれない」としている。
HDDは県庁内の共有サーバーに使われていた。サーバーは富士通リース(東京都千代田区)横浜支店から借り受け、今年2月末にリース期限を迎えるにあたり取り外された。同社はデータの完全消去を下請けの情報機器会社「ブロードリンク」(同中央区)に委託しており、県は4月、HDDを簡易なデータ消去(初期化)をした状態でブロードリンクに引き渡した。
その後、ブロードリンクでデータ消去を担当する技術職の社員がHDD18個を持ち出し、ネットサイトのヤフーオークションにすべて出品。社員は出品の事実を認め、「神奈川県庁で使われていたとの認識はなかった。小遣い稼ぎをしたかった」と話しているという。9個を落札した男性がソフトを使ったところ復元できた。未回収の9個は最大3人によって落札された可能性があり、県は落札者の特定を急いでいる。
県は「物理的に破壊して消去するよう、富士通リースとの契約内容を見直したい」としている。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース