弦楽器の弓、国際取引の規制強化で合意 材料が絶滅危機のおそれ

 中米・パナマで開かれたワシントン条約締約国会議は最終日の25日、バイオリンなど弦楽器の弓の材料に使われるブラジル産の木が絶滅するおそれがあるとして、国際取引に輸出国の許可が必要になる現行の「付属書Ⅱ」を維持した上で、材料のほか、完成品や部品も新たに輸出の規制対象とする修正で合意した。

 ペルナンブコ(別名・ブラジルボク)と呼ばれる木で、弦楽器から優れた響きを引き出す弓の材料としてプロ奏者の間で広く使われている。ブラジル政府は当初、「楽器パスポート(音楽許可証)」を持つ演奏家以外、国際取引をほぼ全面的に禁止する「付属書Ⅰ」への格上げを提案。事務手続きの煩雑さなどから、国境を越えた演奏活動に支障が出かねないとの懸念がオーケストラや演奏家らの間で広がっていた。

 日本政府の会議関係者らによると、ブラジル政府が、付属書Ⅱを維持した上で、新たな注釈として「すべての部品、派生品、および完成品(を規制の対象とする)。ただし、完成した楽器、完成した楽器の付属品、完成した楽器の部品の再輸出を除く」との内容の修正案を提出し、25日、コンセンサスで合意された。

 ブラジルから完成品が輸出される場合には、新たに許可証が必要になるが、すでに海外に存在する製品については対象外となる。関係者によると、ブラジル国内の在庫登録や完成品の弓のトレーサビリティー(生産、流通過程を追跡可能にする)システムの構築、植林支援などが今後の課題になるという。

 演奏活動への影響を懸念する…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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