弱る報道の持続可能性、行き着く先は 「記者は自分の言葉で説明を」

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聞き手・田渕紫織

 デジタル空間では、報道機関が出すニュースへの「フリーライド(ただ乗り)」に拍車がかかり、報道の持続可能性が弱まっています。このまま弱っていけば、どうなるのでしょうか。報道にはどんな機能があり、記者が今後やっていくべきことはどんなことでしょうか。関西大の水谷瑛嗣郎准教授(メディア法)に聞きました。

「ニュース砂漠」になると

 ――民主主義と報道は、どんな関係にありますか。

 私は、報道には二つの機能があると思います。

 まず、国家やプラットフォームなどの権力を監視する機能。権力が行っていることを白日のもとにさらし、事実を伝え続けてモニタリングすることです。権力がするべきことをきちんとしているか、権力を乱用していないかのチェックです。

 もう一つは、社会や経済、政治の運営に必要なニュースの価値判断をして優先順位をつける機能。毎日大量に起こる出来事の中から取捨選択して国民に提供する機能です。

 この二つの機能は、民主主義が回る上で不可欠です。だから、個人の「表現の自由」と違う枠組みで、報道機関には憲法上、「報道の自由」や「取材の自由」という特別な地位が与えられています。

 ――二つの機能がなくなると、どうなりますか。

 米国などで、報道機関が消えて「ニュース砂漠」となった地域で懸念されていますが、権力監視が行き届かず緩んで、汚職や不正が起こりやすくなります。また、地元のことがニュースになりにくく、次の選挙のための判断材料がなくなってしまいます。

 日本でも新聞社やテレビ局の…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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