強制不妊手術、実名公表して訴えたワケ 「後に続いてほしかった」

 旧優生保護法(1948~96年、旧法)の下で、不妊手術を強制されたのは違法だとして、札幌市の小島喜久夫さん(81)が国に損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、札幌高裁である。小島さんは5年前、全国で初めて実名を公表して訴えを起こした。提訴を決意するまでの経緯を、改めて尋ねた。

 小島さんは生後間もなく、北海道石狩市の農家に引き取られた。思春期はすさみ、けんかに明け暮れた。

 1960年ごろ、19歳ぐらいだった。家に帰ると警察官がいた。手錠をかけられ精神科病院に連れて行かれた。医師の診断なしに「精神分裂病」(のちに統合失調症と改称)として入院させられた。

 「『優生手術』を受けた。お前も子どもがつくれなくなるぞ」。同じ部屋に入院していた男性たちは言った。その後、小島さんも手術を受けさせられた。

 優生手術とは、遺伝的に「優良」な形質だけを残そうとする「優生思想」に基づく旧法が認めた不妊や中絶手術を指す。だが小島さんは、自分が強制された手術が法律に基づくとは夢にも思わなかった。病院を出てしばらくしてから、タクシー運転手などをした。

 40歳手前で麗子さん(80…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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